極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
「眠れた?」
やわらかい表情で聞いてくる。

「うん、ありがとう。あ、洗面所借りちゃった」

「そうやって遠慮しなくていいから。好きなように使って」

「ありがとう」

「朝食、簡単なものしかないけど。いつもトーストとコーヒーくらいで。それか会社の近くのカフェで食べたりなんだ」

「あ、わたし用意するから」
それくらいさせてほしい。

「用意ってほどのもんでもないよ」

簡単なもの、って彬良くんは言ったけど。パンは有名なベーカリーの山型パンの薄切りをアルミホイルにくるんで、冷凍庫に入れてあった。風味が落ちないように、らしい。それをオーブンで焼き上げる。
キッチンにはカフェにあるみたいなコーヒーメーカーが据えられていて、ボタンひとつで淹れたてのコーヒーが出てくる。

トーストとバターとコーヒーと、どれも素晴らしく香りがよくて、おかわりしたくなるくらいだった。
生活レベルが違うなあ。そういえば、彬良くんのご実家にお邪魔したときもこんな感じで、カルチャーショックを受けたものだっけ。
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