極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました
「足りる? だいじょぶ?」

チーズとかハムとか果物とかあればよかったけど・・そんなことをつぶやきながら、彼がトーストをかじる。

「すっごく美味しい。彬良くんグルメだね」
でもたしかに、果物とかあったほうが栄養バランスはいいかも。彬良くんがよければ、用意しようかな。

「ここ会社から近いし、俺通勤は車だから、急がなくていいよ」

「え、そうなんだ」
知らなかった。あれ、えーと、わたしも一緒に乗せてくれるってことかな、その言い方だと。
うーん、それはどうなんだろう。誰かに見られたら、なんて言い訳すれば・・・

「そういえば、ここって最寄駅どこになるの?」

「今日から一緒に通勤するから、電車は乗らなくてもいいよ」

「でもあの、誰かに見られたら・・・」

ん? と彬良くんがうすく形のいい唇をにんまり曲げて笑う。
「婚約して一緒に住んでますっていえばいいだろ」

「あ、彬良くん、だってそれは———」

話が違うと言おうとするわたしに、「状況が変わった」と彼が告げる。
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