吐露するキズ跡
披露宴の会場は自然の中に建てられた、一戸建て風のレストランで。

たまに結婚式・披露宴用にも貸し切りで貸し出しているとこらしい。

先輩や親族の人たちは、結婚式を、教会で終えて、こっちへ移動してきているはずだ。

あたしは、先輩のいる、控室に導かれていく。

「先輩」

顔を出すと、ウエディングドレスに身を包んで、中央の椅子に座っていた先輩が、立ち上がる。

「ああっ、タメナガっ!!」

両手を広げて近づいてきて、あたしを、力強く抱きしめた。

意外に肉感的な先輩に、ちょっとくらくら来る。

怖いな、あたし。

思ってると、

「ああ、やっぱりスカートなんだな」

あたしを開放した先輩が言う。

先輩は、あたしの、足元を見てる。

…残念そう。

あたしは、ため息をついて、

「自分で厳しく指定したんでしょう。先にご飯もおごってもらいました」

「うーん。そうなんだけど、もしかしたら、違うのかもとか、淡く。ほんとに淡くね、期待を抱いてたのよ」

< 49 / 62 >

この作品をシェア

pagetop