吐露するキズ跡
田村は椅子に座って、軽くドラムを叩いてみる。

位置の微調整。

「…よし、いいかな。…みんな遅すぎるな」

スティックを置いて、会場の外を見やる。

「探してこようかな。あいつらだって準備しないといけないだろうに」

そうだよな。

時計を見る。

もう、始まる時間まで、あんまりない。

そろそろここにみんなが移動を始めるんじゃないのかな。

立ち上がって振り返る。

と、ヒトの声がし始めて、トウゴさんが見えた。

招待客らしい人たちを、誘導するように歩いてくる。

「…何やってるんだろう。自分だってここに来るの初めてのクセに…って、タキシード着てるじゃん。オレも着替
えて来なきゃ」

急に焦りだす。

そうか、トウゴたちは着替えに消えてたのか。

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