吐露するキズ跡
やっと、驚きから立ち直って、ベースを見る。

いいなあ。

思って、手元から流れた視線の先で羽と目があう。

うわ。

何か、目をそらされた、記憶がよぎる。

固まってると、

ニッコリ、微笑んでくれた。

急に嬉しくなる。

顔もニヤけてくる。

先輩ありがとう。

先輩のおかげで、羽の演奏してるとこ観れました。

しかも、タキシード。

先輩の方を見る。

演奏はすぐにBGMと化して、披露宴が進行しちゃってるのだけれど、先輩は、しっかりあたしの方を見ていて、

しっかりと目が合った。

目を離さないまま、ニンマリ微笑まれる。

…そうだった。

先輩、この中の誰をあたしが好きなのか、当ててやるって言ってたっけ。

あの笑顔。

絶対にバレたな。

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