白と黒と時々ピンク。
『お疲れ様〜！』

受話器の向こうからいつもの甘ったるい声が聞こえてきた。
僕はコーヒーを一口飲んでタバコに火をつけた。

『どういうこと？』

僕は簡潔に聞いた。
口からはまだタバコの煙が溢れていた。
煙を吐ききる前に次の吸引を始めた。

正直イライラしていたのだ。

『違うの。聞いて。一馬があまりにもしつこくて。それで、、、』

『それで？』

僕の問いに瞳は一呼吸おいて答えた。

『つい、、、ハルくんの事が気になるって、、、』

僕は『ふぅー』っと煙を吐き出した。
煙はダッシュボードの上を舞いながら綺麗に消えていった。

そのまま僕も消えて無くなりたかった。

『一馬はなんて言ってる？』

『なんでなんって怒ってた。なんで俺じゃダメなんって。』

一馬らしいと思った。
一馬は人の幸せを願えるタイプでは無かった。
自分が不幸なら他人も不幸じゃないと気が済まないタイプだ。

僕はますます一馬に電話するのが嫌になった。

『気にすることないよ。仕方ないじゃん。』


瞳の楽観的なセリフに腹を立てながら、一馬に連絡すると言って電話を切った。

『終わったら連絡ほしい』という瞳に『わかった』と答えた。
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