ホテル御曹司が甘くてイジワルです
「このプラネタリウムで田端さんのお話を聞けて、固定された座席がなくてもいいんだって、もっといろんな形のプラネタリウムの可能性に気付けました」
自分の靴のつま先を見ながらお礼を言うと、大きな手がぽんと私の頭にふれた。
優しく髪をなでられ、なんだか胸の奥がくすぐったくなる。
「本当は、実際にプラネタリウムの投影を見せてやれればよかったんだけどな」
「いえ、あのドームやコンソールを見られただけで、十分です」
それだってすごいことだ。閉館した科学館の中を見学させてもらえるなんて、普通はありえない。
「清瀬さん、『坂の上天球館』をつぶすつもりなのに、どうして私をここにつれて来てくれたんですか?」
おずおずとたずねると、髪をなでていた手が下りてきた。
私の頬をなぞった長い指が顎をすくいあげ、うつむいていた顔を上げさせられる。
「ただ、真央の喜ぶ顔が見たかっただけだ」
驚いて目を見張った私に、彼は短く笑った。
その眼差しが甘くて息をのむ。
「私の喜ぶ顔なんて、なんで……」