ホテル御曹司が甘くてイジワルです
三回深呼吸をして、ようやくドキドキが収まってきた。
触れていた脇腹から手を離し、先を行く清瀬さんを追いかけた。
「清瀬さん。なにか今日のお礼をさせてください」
彼の横に並んでそう言うと、小さく眉をあげてこちらを見下ろす。
「俺がしたくてしたことだ。気にしなくていい」
「でも、前も助けてもらったお礼といいつつ食事をごちそうになってしまったし、借りを作ってばかりじゃ落ち着きません」
「借りって……。本当に真央は負けず嫌いだな」
呆れた口調で言って、少し考え込むようにわずかに首をかたむける。
「じゃあ、次の休日を俺と一緒に過ごしてくれるか?」
予想外の言葉に、そんなことがお礼になるのかときょとんとしてしまった。