ホテル御曹司が甘くてイジワルです

古い商館の重厚な雰囲気を生かした優雅で広々としたメインダイニング。
坂の上という立地と美しい庭を生かしたガーデンルーム。
そしてどこか落ち着ける雰囲気の上品で温かなゲストルーム。


すごい、こんな素敵なオーベルジュができるんだ。
思わず感激して息を吐くと、「どうした?」と後ろから声をかけられた。

「あ、すみません。つい見入ってしまって」

慌ててあやまる私に、清瀬さんが近づいてくる。
肩越しに私の手の中の資料をのぞきこんで納得したようにうなずいた。

「これ、私が見ても大丈夫な資料ですか?」
「あぁ。完成予想図はもう公開されてるからかまわない」

そう言われ、安心してオーベルジュの資料を見る。

「素敵ですね。あの坂の上にこんな夢みたいな場所ができるんだと思うと、わくわくします」
「無事にできるかはまだわからないけどな」

その煮え切らない口調に首をかしげてふりかえる。

「なにか問題があるんですか?」
「いろいろな。式場にする予定だった施設に買収を拒まれたり」

反射的に顔をしかめると、「ははっ」と清瀬さんが笑った。

< 111 / 278 >

この作品をシェア

pagetop