ホテル御曹司が甘くてイジワルです
「そう簡単にプラネタリウムをつぶさせませんから」
肩をいからせ威嚇する私を、清瀬さんはおどろくくらい穏やかな表情で見つめる。
「わかってる。君たちにとってあそこが大切な場所だっていうのは」
そんなことを優しく言われてしまったら、どうしていいかわからなくて困る。
私は慌ててうつむき、資料を見るふりをした。
「プレアデスグループは、どうしてオーベルジュをオープンすることになったんですか?」
なんとなくそう質問すると、予想外の答えが返ってくる。
「俺の我儘だ」
「我儘……?」
どういう意味だろうと首を傾げた私に、背後でうなずく気配がした。
「プレアデスホテルは自社のブランドを強く打ち出し、グループ内のどこのホテルに泊まっても最高級の空間とサービスを提供することを理念としている。いつ宿泊しても、どの従業員が担当しても、同じように最高の時間を過ごしてもらえるように」
詳しくわからないけれど、各地にあるホテルで働くスタッフを合わせれば、数千人になるだろう。そのひとりひとりにすべてのお客様に最高級のおもてなしをという高い志を持って働いてもらうのは、簡単なことではないはず。
「すごいですね」
想像してぽつりとこぼすと、清瀬さんが私の肩越しにオーベルジュの完成予想図を見つめた。