ホテル御曹司が甘くてイジワルです
清瀬さんも忙しいのに突然泊まることになってしまって、仕事の調整が必要なんだろう。
「私、外で電話してきますね」
邪魔をしては悪いなと、スマホを持って客室を出た。廊下においてあるソファをみつけ、そこに腰かけ電話をかける。
何度か呼び出し音が鳴り、すぐに館長が電話に出た。
『夏目さんがお休みに連絡をくれるなんて珍しいねぇ』
電話口でのんびりと言われ、肩の力が少し抜けてしまう。
「館長、今日ちょっと遠出をしていたら雨で道路が封鎖されて帰れなくなってしまいました」
『おやおや。それは大変だ。大丈夫かい?』
「ちょうどペンションに空き室があったので、泊めてもらうことにしたんですが……」
『それはよかったねぇ。こっちは僕ひとりで大丈夫だから、気にせずゆっくりしておいで』
あっさりと言われ、ちょっと戸惑う。もっと困ってくれてもいいのに。
でももともとは館長がひとりでこなしていた坂の上天球館。私が突然休みになっても、いつもより忙しいくらいで大きな問題はないだろう。
「すみません。明後日はちゃんと行きますから」
『清瀬さんによろしくね』
「はい……」とうなずきかけて口ごもる。
しまった。清瀬さんとお出かけして、その上お泊りすることになったことがバレバレだ。
明後日職場に行ったらからかわれること間違いなしだ。