ホテル御曹司が甘くてイジワルです


「あ、そうだ。お母さんそろそろ仕事に行くけど、お米がなくなったから買ってきておいて」

感極まっている娘に向かって、思いついたようにポンと手を叩いた。

「お米?」
「あと牛乳と卵と、明日の朝のパンと、買ってきてほしいものメモしておいたから。よろしくね」
「え、こんなに?」

手渡されたメモを見て、容赦ない品数に目を見開いた。

この田舎町にバスはなく、日用品を取り扱う商店までは歩いて十五分。お米や牛乳の重たいものに加え、こんなにたくさん買ってこいなんて鬼の指令だ。

「どうせ家でごろごろしてるだけなんでしょ? ナマケモノに退化する前に、そろそろ少しは外を歩きなさい」

ぴしゃりと言いきられ、顔をしかめた。


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