ホテル御曹司が甘くてイジワルです
「やっぱり真央ちゃんは今でも星が好きなんだね。よく一緒に天体観測したもんな」
付き合っていたときのことを持ち出され、ちょっと気まずくなる。けれど五藤くんは気にする様子もなく話を続ける。
「俺は理科の教員をしてるんだ」
「そうなんだ。学校の先生って、五藤くんにあってると思う。優しいし、教え方もうまいし」
「ありがとう。今度真央ちゃんの働くプラネタリウムを見に行ってもいい?」
「うん、今改装中でしばらく休館してるけど」
「じゃあ、改装が終わったら知りたいから、連絡先教えてくれる?」
「いいよ。リュックの中にスマホが入ってるから、あとで……」
「真央ちゃん、結婚してる?」
「してないよ」
反射的にそう答えてから、「ん?」と少しひっかかった。
この流れでする質問かな? と不思議に思っていると、五藤くんが「よかった」とほっとしたように笑った。
よかった?
ますます疑問に思い、首をかしげる。
歩いているうちに、アパートの前に到着した。