ホテル御曹司が甘くてイジワルです

「あ、ここが実家だから」

荷物を受け取ろうとすると、リュックではなく五藤くんの手を握らされた。

ぎゅっとつよく握った手に、驚いて目を見張る。

「真央ちゃん、あのときはごめん」

このまま、なにもなかったようにさよならしてくれればいいのに。六年も前の過去のことを今更謝られても、苦笑するしかない。

「いや、あのことは、五藤くんはなにも悪くないから……」
「でも俺の態度で真央ちゃんを傷つけたこと、ずっと後悔してた」
「汚い傷跡を見て気持ち悪いと思うことは、仕方ないことだし」

なんて言いながら、苦しくなる。

誰だって、痛々しい傷の跡を見たら生理的に嫌悪するのは当たり前だ。
清瀬さんだって無理をして優しくしてくれただけで、内心は五藤くんと同じように気持ち悪いって思っていたんだ。

「今は手術で傷跡を目立たなくできるの、知ってる?」

五藤くんにそう言われ、思わず眉をひそめた。
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