ホテル御曹司が甘くてイジワルです
「あ、遠山さん」
会釈をして立ち上がると、後ろに立つ人物に気付いて背筋が伸びる。
さきほどお客様に向かって挨拶をしていた威厳のある初老の男性。清瀬さんの父親、そしてプレアデスグループの社長だ。
「はじめまして、夏目真央と申します」
慌てて頭を下げると、「遠山からよくお話は聞いていました。このオーベルジュのオープンに至るまで、あなたには大変お世話になったと」とお礼を言われ恐縮してしまう。
「とんでもないです」
予想していたよりもずっと穏やかな印象のお父さん。笑った目元が清瀬さんに似ている。そう思うと少し緊張が解けた。
すると会話をしている私たちに気付いたのか、スタッフとやり取りをしていた清瀬さんがこちらに近づいてきた。
「親父」
清瀬さんに声を掛けられ、お父さんが片方の眉をわずかに上げる。