ホテル御曹司が甘くてイジワルです


「大人ばかりでもね、知らないもの同士が肩を寄せ合い空を見上げることなんてそうそうないでしょう? それぞれ声は出さなくても妙な一体感が生まれて、なかなか好評だったんですよ」
「もうこの投影機は動かないんですか?」

うちの施設と同じ国内メーカーのものだけど、年代がずいぶん古く大きさも若干小さい投影機。
建物の取り壊しと一緒に廃棄されてしまうんだろうか。

「年代物ですからね。もう製造会社のほうでも交換する部品がなくて修理のしようがないと言われてしまいました」
「そうなんですか……。さみしいですね」

中央にある投影機に近づきそっと手で触れる。

「それでも、数えきれないくらいたくさんの星をたくさんの人に見せることができましたから、満足していると思いますよ」

田端さんのその言葉に、そうですよねと笑顔でうなずいた。

「もしよかったら操作卓も見ますか?」
「見たいです!」
「こっちもかなりレトロですよ」


わくわくしながらコンソールを覗くと、ずらりと並んだアナログのダイヤル式のスイッチに驚く。

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