ホテル御曹司が甘くてイジワルです
「わぁ、うちのとぜんぜん違います」
「全部手動ですからね。こっちが緯度変化、こっちが日周運動で、ここで速度調節をして……」
「これ暗闇の中で解説しながらしていたんですか?」
「すごいでしょう?」
「すごすぎます!」
めったに見られない年代物のプラネタリウムを前に、経験も知識も豊富な大先輩の話を聞けて私は大興奮だった。
すっかり夢中になって話し込み、気が付けば一時間近くたっていた。
自分の腕にはめた時計を見てはっとする。
「すみません。こんなに長い時間色々聞いてしまって」
「いえ、大丈夫ですよ。私も話を聞いてもらえて楽しかった」
優しい田端さんにお礼を言いながら、そういえば清瀬さんはどうしてるんだろうと青ざめる。
わざわざつれて来てくれたのに、彼そっちのけで話し込むなんて最低だ。
慌ててドームの出口の方を見たけれど、姿がなかった。
「清瀬さんなら、さっき電話がかかってきて外に出たみたいですよ」