冷徹社長は溺あま旦那様!? ママになっても丸ごと愛されています
「今の社長さんがね、ついにスカウティングにまで手を出したらしくて」
「あらら。事務所の名前を使ってお気に入りの芸能人でも引っ張ってきた?」
まさしく、と了が肩を落とす。
「さっそく研修中に逃亡したって」
「評判のいいインターナショナルも、終わるかもね」
ふたりで苦笑いするしかなかった。ソレイユも、どうしてそんな人を了の後任に据えたのか。一刻も早く、失ったものの大きさに気づくといい。
「戻るの?」
「うーん……グループの意思も関わってる部分だし、そう簡単にはね」
「好きなだけ悩んだらいいんじゃない」
時間はたっぷりある。求められて戻るのもいい。新天地で自分の力を試すのもいい。了が納得して選んだ道なら、必ずサポートしてみせる。
私も学んだ。どんなに険しく理不尽な道のりだろうと、ひとりでも理解してくれる人がいれば、心は折れずに済む。
たったひとりでいい。「よくがんばったね」と抱きしめてくれるだれか。
ん、と了がこちらに両手を差し出し、恵をよこすよう催促する。私は恵に尋ねた。
「パパのところ、行く?」
了の目が大きく見開かれたことには、気づかないふりをする。
恵は私と了を見比べ、にっこり笑って父親のほうへ身を乗り出した。
「パパ!」
冬の白い日差しが、私たち家族三人に、優しく降り注いでいた。
Fin.
──Thank you!
「あらら。事務所の名前を使ってお気に入りの芸能人でも引っ張ってきた?」
まさしく、と了が肩を落とす。
「さっそく研修中に逃亡したって」
「評判のいいインターナショナルも、終わるかもね」
ふたりで苦笑いするしかなかった。ソレイユも、どうしてそんな人を了の後任に据えたのか。一刻も早く、失ったものの大きさに気づくといい。
「戻るの?」
「うーん……グループの意思も関わってる部分だし、そう簡単にはね」
「好きなだけ悩んだらいいんじゃない」
時間はたっぷりある。求められて戻るのもいい。新天地で自分の力を試すのもいい。了が納得して選んだ道なら、必ずサポートしてみせる。
私も学んだ。どんなに険しく理不尽な道のりだろうと、ひとりでも理解してくれる人がいれば、心は折れずに済む。
たったひとりでいい。「よくがんばったね」と抱きしめてくれるだれか。
ん、と了がこちらに両手を差し出し、恵をよこすよう催促する。私は恵に尋ねた。
「パパのところ、行く?」
了の目が大きく見開かれたことには、気づかないふりをする。
恵は私と了を見比べ、にっこり笑って父親のほうへ身を乗り出した。
「パパ!」
冬の白い日差しが、私たち家族三人に、優しく降り注いでいた。
Fin.
──Thank you!

