冷徹社長は溺あま旦那様!? ママになっても丸ごと愛されています
「恵、寝なかった?」
「そりゃもう。了もずっとつきあってくれたの」
「いい旦那さんだねえ。さあ、さおちゃんも出る支度しちゃって。買っておくものがあればメモを残してってね」
「ありがとう」
私はお言葉に甘え、バスルームへ向かった。
いいお父さんでなく、『いい旦那さん』か。そのとおりだ。ひと晩中一緒に起きていてくれたことで、救われたのは恵よりも、私のほうだ。
『こういうこと、多いの?』
『これまでに数回かな。でも先生が変わったり新しいお友達が入園したりすると、決まって眠らなくなるの』
『"家"に変化があるのが嫌なんだな。早織に似て、猫タイプかも』
『それ、仕事上の話でしょ?』
眠気でぼんやりした頭で、意味のあるようなないような会話をぽつぽつ交わす。恵は『ねんねしない!』と意地を張り、睡魔に負けてうとうとしては癇癪を起こして泣きわめいた。
『周りの迷惑を気にしなくていいだけで天国。前は家を出てた』
『環境によって、しなくていい苦労を強いられるのは、気の毒だね』
了は思案げに顔を曇らせた。母ひとり子ひとりの家庭で、こんなマンションに住めるほうが例外的だろう。経済的余裕がないことは、あらゆる方面へマイナスの影響を及ぼす。負のスパイラルだ。
服を脱ぎ捨て、ぴかぴかのバスルームへ入った。築一年に満たないマンションだ。先の住人は転勤で海外に移住が決まり、買い手を探していたらしい。
まこちゃんが名乗った『ユアライフ』というのは屋号だ。シッターとして契約が決まってすぐ、まこちゃんは『賢く節税しないとねー』と個人事業主として開業届を出した。さすがの決断力と行動力だ。
キッズやベビーという単語を入れなかったのもまこちゃんらしい。
『子どものお世話をしに行くんじゃないんだ。私はお父さんとお母さんを助けに行くんだよ』
そのポリシーを聞いたとき、了はなにかを感じたようだ。いずれ法人化する手伝いをしたいとかなんとか、あとでぶつぶつ言っていた。
「そりゃもう。了もずっとつきあってくれたの」
「いい旦那さんだねえ。さあ、さおちゃんも出る支度しちゃって。買っておくものがあればメモを残してってね」
「ありがとう」
私はお言葉に甘え、バスルームへ向かった。
いいお父さんでなく、『いい旦那さん』か。そのとおりだ。ひと晩中一緒に起きていてくれたことで、救われたのは恵よりも、私のほうだ。
『こういうこと、多いの?』
『これまでに数回かな。でも先生が変わったり新しいお友達が入園したりすると、決まって眠らなくなるの』
『"家"に変化があるのが嫌なんだな。早織に似て、猫タイプかも』
『それ、仕事上の話でしょ?』
眠気でぼんやりした頭で、意味のあるようなないような会話をぽつぽつ交わす。恵は『ねんねしない!』と意地を張り、睡魔に負けてうとうとしては癇癪を起こして泣きわめいた。
『周りの迷惑を気にしなくていいだけで天国。前は家を出てた』
『環境によって、しなくていい苦労を強いられるのは、気の毒だね』
了は思案げに顔を曇らせた。母ひとり子ひとりの家庭で、こんなマンションに住めるほうが例外的だろう。経済的余裕がないことは、あらゆる方面へマイナスの影響を及ぼす。負のスパイラルだ。
服を脱ぎ捨て、ぴかぴかのバスルームへ入った。築一年に満たないマンションだ。先の住人は転勤で海外に移住が決まり、買い手を探していたらしい。
まこちゃんが名乗った『ユアライフ』というのは屋号だ。シッターとして契約が決まってすぐ、まこちゃんは『賢く節税しないとねー』と個人事業主として開業届を出した。さすがの決断力と行動力だ。
キッズやベビーという単語を入れなかったのもまこちゃんらしい。
『子どものお世話をしに行くんじゃないんだ。私はお父さんとお母さんを助けに行くんだよ』
そのポリシーを聞いたとき、了はなにかを感じたようだ。いずれ法人化する手伝いをしたいとかなんとか、あとでぶつぶつ言っていた。