冷徹社長は溺あま旦那様!? ママになっても丸ごと愛されています
「お帰り」

「わ、早織、あの」


戸惑いがちな声があがった。一応抱きしめ返してはくれるものの、どうにもぎこちない。いつになったら慣れるのか。


「ごはんいる? まこちゃんが作ってってくれたの」

「あ、いただきたいです、ぜひ」


……ん?

あきらかに了ではない声に、私の頭はようやく覚醒した。ワイシャツに埋めていた顔を上げ、了の背後を見る。ジョージさんが「お邪魔します」と手を振っていた。

私が悲鳴を上げたのは、恥ずかしかったからじゃない。

自分が完全なるすっぴんで、かつ部屋着であることを思い出したからだ。




「ごめんなさい、お待たせしました」

「いつもの早織さんだ。ノーメイクもすてきだったのになー」


そのコメントは無視させていただき、私はふたりぶんの食事と、自分のぶんのコーヒーをテーブルに並べた。

見た目以上に空腹だった彼らは、私がコーヒーを飲み終える前に、すごい勢いで食事を片づけてしまった。「ごちそうさま」と手を合わせる仕草がまったく同じで、育ちのルーツが一緒であることを思わせる。

了が食器を洗う間、私は新しく三人ぶんのコーヒーを入れ、配った。


「どうも。おいしかったです。"まこちゃん"というのは?」

「私のきょうだいで、今、恵のシッターをしてくれてるんです」

「お姉さん?」

「どうでしょう。お兄さんと呼ぶこともできます。本人は喜びませんが」


首をひねった私に、ジョージさんは色の薄い瞳をきらめかせ、「ミックスですか」と微笑んだ。


「僕と同じだな」

「ハーフのこと? やっぱりジョージさんて、外国の血が入ってるの?」

「父方の祖母がスペイン系アメリカ人でして。俗にいうクォーターですが、"四分の一"なんて呼ばれるのは好きじゃないですね。残りの四分の三だって僕ですよ」


なるほど。言われてみれば、ハーフともども失礼な呼びかただ。
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