その花が永遠に咲き続けますように
ちょうど学ラン着てたってどういうことなんだろう。でも、確かにうちの高校の学ランは昔ながらの全国標準型のデザインだから、他の高校の制服だったとしてもわからない。


「嘘を吐き続けるつもりもなくて、どうせすぐにバレると思ったから言わなかっただけなんだ。だけど咲には案外バレなくて、そうしたら本当のこと今更言い出せなくなってきて……」

「まあ、普通は気付きそうなもんだよな」と武入君が言うからグッ……と言葉に詰まるけれど、

「でも、一組と八組は校舎も授業も違うから、きっかけがなければ確かにずっと気付かないかも」と荻原さんがフォローしてくれる。


……校舎と授業もそうだけど、私自身が学校の話題を避けて音楽の話ばかり振っていたからというのもあるかもしれない。学校では友達が一人もいなくていつも一人で過ごしていることを、永君には知られたくないと思っていたんだと思う。



「でも、文化祭でステージに立つ前によくバレなかったわね? あれ、申請とか必要なんでしょ?」

白山さんが、元文化祭実行委員の荻原さんの方を見ながらその質問をぶつけると、


「申請書には代表生徒の名前とクラスだけ描けばいいことになってるから。そもそもあのステージ、うちの生徒の身内や他校の生徒が参加してもいいことにそもそもなってるしね」

と荻原さんが説明する。

私もそれは知っていた。うちの高校のOBの洋さんがそんなようなことを言っていた気がする。
洋さんは永君がうちの生徒のフリをしていることを知っていたのだろうか?

というか、そもそも……


「何で、そんな嘘を吐いてたの?」


永君をじっと見つめながらそう伝える。
誰かを傷付ける嘘じゃないから、その嘘を責めるつもりは全くないけれど、理由は知りたい。
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