珈琲プリンスと苦い恋の始まり
午前中にやるべき仕事は済ませて来てる。だからいい…と自分を納得させて反対側へと進んだ。

菩提寺から道路を暫く走り、トンネルの中を抜けると、目の前には海原が広がり、眩しい光が私の車を包み込んだ。



「眩しっ…」


サンバイザーを下ろしても軽減されない。

波の上を乱反射する光が視界の中に入り、目がチカチカしてくる。


「今日はいい天気過ぎる」


目を細めながら車を走らせ、ついクセのようにあの家へと近付いた。

なるべく家を見ないように…と擦り抜けても、通り抜けてしまった後は、どうしても後ろ髪を引かれて……。


少し先にある駐車スペースに車を止めて振り返る。
今日は道筋に幟があったから、開店はしているみたいだけど……。



(どうしよう。行ってみたい)


車中で少し迷いつつも、迷うくらいなら行こうと決めた。

あの店のマスターも「また来いよ」と言ってたし…と自分に言い訳をして、「うん!」と声を出してハンドルを切りUターンした。


店に続く坂道を走り上がり、敷地を見ると車の一台もなく……。


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