珈琲プリンスと苦い恋の始まり
だけど、別れは再び突然に
一週間後、『悠々』で出張喫茶店が開かれた。

あの日以来、まめに連絡をくれる彼と、久し振りに電話以外で顔を合わせることになったんだけど__。



(どうしたの?何だかぼうっとしてない?)


私は同僚の田代さんに頼まれて、珈琲を注文に来たんだ。偶には私達も飲まない?と言われ、渋々ながら足を向けて来たんだが。


「こんにちは」


余計な言葉は言わないでよ、と思いつつ挨拶をした。
二日くらい前に電話で会話した相手は私を見上げ、「ああ、こんにちは」と暗い声を返した。


「どうしたの?具合でも悪いの?」


こそっと訊くと「いいや」と答える。
だけど、どう見ても元気が無さそうに見えて、気になって何かあったのか?と問いたくなった。


「注文は?」


彼はじっとしてる私に訊いた。
ハッとして我に戻り、珈琲を二つ…と頼んだ。


「同僚の看護師に飲まない?と誘われたの」


ボソボソと来た理由を説明する。
彼は、そうか…と微笑み、直ぐに淹れるから、と会計の前を過ぎ去った。

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