その恋に落ちるのは、彼の罠に掛かるということ
その日、昨晩課長と一晩過ごしたことが万が一周囲にバレていたら……としばらくビクビクしていたものの、そんなこと誰も疑いもしなかった。

課長も、当然といえば当然だけれど昨日のことは皆に隠してくれていたし、いつも通りに仕事を済ませ、いつも通りの時間に帰宅した。


華金の週末とはいえ、残念ながら何の予定もない。
合コンの誘いは毎回必ず断るから、最近は誘われもしなくなってきたし、今日は友達との食事の予定もない。仲の良い友達はみんな彼氏持ちだから、週末はデートをすることが多いようだ。


とは言え、一人で過ごすことは苦にはならない。
寧ろ、たまには素晴らしいものだとすら感じる。
帰り際に、スーパーで焼き鳥と缶ビールを一本買ってきた。お酒は苦手だけれど、缶ビール一本くらいなら程良く酔えるからたまに飲む。

という訳で、焼き鳥とビールで週末の疲れた身体を癒し、幸せを感じていると……


ーーピンポーン


と、突然インターホンが鳴った。

誰? 来訪者なんて滅多にないのに。しかもこんな時間に……。

若干不審に思いながら、チェーンロックを外してゆっくりと玄関の戸を開けると……


「はっ?」


そこにいたのは、武宮課長だった。
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