その恋に落ちるのは、彼の罠に掛かるということ
「課長、私に対してガッカリしました?」

「え、何で? どういうこと?」

「ノリ悪いなぁというか……」

せっかく〝接しやすい〟と思ってもらっていたのに、全然見当違いだったなって思われているかもしれない。

だけど、私の質問に対して彼は……


「いや、そんなこと思う訳ないけど」

「けど……?」



「女性らしいなって思って、可愛いと感じた」



ドキン、と不覚にも心臓が跳ねるのを感じた。
わかってる、深い意味なんてないって。
課長は軽い人だ。発言の一つ一つに意味を求めたって仕方ないだろう。

だから……暴れないで、心臓。少なくとも、動揺していることを彼に悟られないようにしないと。



「さて、寝るか」

軽く欠伸をしながら課長が言う。時間的にはそこまで遅くはないけれど、今日は一日中忙しかったし、週末なのもあって私も疲れて眠い。


「そうですね」

そう答え、ベッドに入り込んだ直後に、またしても不安になる。


私、本当にガッカリされてないよね? 同性のように思われていないと、課長にとっての私は価値がないんじゃないか、なんて考えてしまう。
女性扱いされない現実に胸を痛めたはずなのに、今は、女性扱いをされたくないって思う。何で? 課長が、私から離れていくのが嫌だから……?


この気持ち、何?


不安になった私は……



「か、課長」

布団に入った彼に、ベッドの中でから声を掛ける。

彼は「何?」と顔だけ振り向かせる。


「あの……」

女性扱いされたくない私は……


「同じ布団で、寝ますか?」
< 28 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop