その恋に落ちるのは、彼の罠に掛かるということ
「ん……」
カーテンの隙間から溢れる朝日が眩しくて、薄っすらと目を開ける。結局深夜まで眠れなかったけれど、さすがにいつの間にか少しだけ寝ていたようだ。
今、何時だろうと思いながら、枕元の携帯のホームボタンを押すと、7時を示していた。休日だからいつもなら余裕で二度寝コースだけれど、
「課長! 休日出勤ですよね⁉︎ 起きてください!」
慌てて課長の方に振り向き、声をあげる。
だけど、そこに課長の姿はない。
それどころか布団も綺麗に片付けられている。
課長の服も鞄もない……もう出て行ったのかな。
会社に近いから、という理由でこの家に泊まったくらいだから、てっきり朝が苦手なのだと思っていたけれど、そういう訳じゃないのかな……。
そんなことを考えていると、課長からメッセージが届いていることに気付く。
【甘い物、好き?】
……何だろう、この質問は。泊めてくれてありがとうとか、そういう内容じゃないのか、と心の中でツッコミながらも【好きです】と返してみる。
すると、すぐに返信が来る。
【じゃあ、帰りにケーキでも買って、またお邪魔するわ〜】
……って。
「ちょっ、今夜も来る気⁉︎」
思わず、携帯に向かって独り言が飛び出した。
だって、付き合ってもいないのに三日連続で家に来るって明らかにおかしい!
……と思いながらも。
どこか本気で嫌がってはいない自分に気付く……。