惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~

みんなのところに戻るとちょうど飲み物が運ばれてきた。ジョッキを持ち上げ、琴子の「かんぱーい」に合わせてグラスをぶつけ合う。
香辛料の効いた唐揚げにタコサラダ。料理は一般的な居酒屋となんら変わりはないけれど、各テーブルを回って芸を披露する芸人が意外と面白い。リクエストに応えて風船で動物を作ってくれたり、ピエロが手品を披露してくれる。

同期会は普段からワイワイ楽しいけれど、いつも以上に盛り上がって、調子に乗ってビールをお代わり。気づけばほろ酔い状態になっていた。


「香奈も二次会に行くよね?」


精算を済ませた店の外で琴子が当然のことのように言う。


「あ……ごめん。今夜はこれで帰ろうかな」


あまり遅くなって余計な心配を陽介さんに掛けたくない。……私が思うほどに心配はしない可能性のほうが大きいけれど。


「そっか。残念だけど仕方ないか」


琴子の目線が私の左手に移る。怪我のこともあるから強く誘わないでおこうと思ってくれたみたいだ。


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