惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~
私が帰るのは陽介さんのマンション。そこに案内したら、きっと高級すぎて驚かれちゃう……。
「わかった。じゃあ、香奈をよろしくね」
「おう」
歩きだしたみんなを見送り、「じゃ、行くか」と森くんが方向転換。おぼつかない足取りの私を支えるように腕を掴む。
「……歩けるから大丈夫だよ」
そう言ってみたけれど、「そのへんで倒れられても困るだろ」と手を離してくれない。もともとお酒は強いほうではないし、言っていることも間違っていないだけに言い返すこともできず、仕方なしに支えてもらいながら歩きだす。
「もう少し行けばタクシー乗り場があるから、そこからタクシーにしよう」
「……はい、よろしくお願いします」
殊勝な態度で従った。
「で、怪我の治り具合はどうなんだ?」
「順調、なのかな。……よくわからない」
「なんだよそれ。自分の手だろ?」
「あは、そうだね……」
苦笑いをする森くんに笑って誤魔化す。笑顔が引きつっているのは自分でもわかった。