惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~
予想もしていなかったことを言われて動揺する。
真っすぐ注がれる陽介さんの視線にどこか不機嫌なものを見つけたけれど、そんなはずはないと思い直す。
「ところでその後、お兄さんは?」
急に話題が変わり、頭の中が混乱する。
「あ、いえ、特には……」
キスを目撃されたことは黙っておこう。
「あれきり私の部屋に顔を出さなくなりました。メールもこないです」
あんな場面を見れば当然といえば当然。パンチが利きすぎたかと、逆に心配にもなる。
「今夜、香奈のマンションへ行こう」
「……はい? 誰がですか?」
「誰って、俺以外にいる?」
それはそうだけど……。
陽介さんの眉間に深い皺が寄る。鋭い視線を浴びせられてシュンとなった。
「そうと決まれば帰ろう」
「え? え?」