惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~
エプロンを外して謙遜しつつ、彼も向かいに座った。
いい匂いにつられるようにして「いただきます」と手を合わせ、遠慮なくひと口目をいただく。
「……わぁ、おいしい!」
見た目と匂いから想像していたものを上回る完成度。ごはんは芸術的なパラパラ具合で、私の好みを知り尽くしたかのような味付け。なにもかもがパーフェクトで、「おいしい」以外の日本語を知らない人になってしまった。
「少しは元気が出たようだね」
「はい。本当にいろいろとありがとうございます。部屋にまで転がりこんじゃって……」
彼氏にさせられたうえ、今度は空き巣騒ぎ。陽介さんからしたら、踏んだり蹴ったりだろう。
「いや、俺もこのほうが嬉しいし」
嬉しい? どうして陽介さんが?
言っていることの意味がわからずポカンと見つめていると、彼と目が合った。
「なに?」
「あ……いえ、なんでもないです。おいしいなって思って」
適当に誤魔化してチャーハンを口に運ぶ。