惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~
間近で合った視線が行き場を失くす。逸らせばいいのに、それができない。
陽介さんの優しい瞳が、微かに揺れる。この前のキスを思い出して、胸が急速に高鳴っていく。なんともいえない緊張に包まれたそのとき、彼の手が私の髪に触れた。
「……まだ乾かしてなかったんだね」
「はい……。ビニールを外してからと思って……」
いきなり意識を逸らされて拍子抜けする。でも、そのおかげで甘くなりかけた空気が一気に払拭されたようにも思えた。
「乾かしてきますね」
明るく言って立ち上がると、陽介さんに右手を掴まれた。ドキッとして振り返る。
「その手じゃ、やりづらいだろ」
「ですが……」
立ち上がった陽介さんをボーッと見送っていると、彼はドライヤーを片手に戻ってきた。俺が乾かすと言う。そんなことまでしてくれなくても……と思って自分でできるとアピールしたものの、耳を貸してもくれなかった。
ドライヤーの風と陽介さんの指先が、私の髪を乾かしていく。ときおり首筋に彼の指先が触れ、その度に軽く肩が弾む。優しい手つきに、私はひとり胸を高鳴らせた。