拾い恋(もの)は、偶然か?




「部長、お話よろしいですか。」



終業後、相変わらず七瀬さんを隣に従え、余裕で残業に突入しそうな勢いの部長を呼び止めた。



「部長はこれから残業なんですよ。ごめんなさいね。」


そう言って笑顔で断りに来る七瀬さんに苛立ちが増すけれど、ここは我慢だ。


「5分でいいので。プライベートなことなんです。席を外してくれます?」

「っっ、」



仕事だからと遠慮している場合じゃない。だけど仕事も邪魔したくないから、残業前を狙ったっていうのに。だから部長を前に七瀬さんとバチバチしてる暇なんてない。


「第二会議室が開いてるから行こうか音。」



そんな私たちの権幕に全く気付いていないのか、なぜかめちゃくちゃ嬉しそうな部長が第二会議室を指さしている。のんきというか、なんというか。


「行きましょう。」

「ああ。」


部長を見てると尖がっていた感情も強制的にまーるくさせられてしまう。


悔しそうにこっちを見ている七瀬さんを残して第二会議室に入れば、部長が突然、私を強く抱きしめた。







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