拾い恋(もの)は、偶然か?




「で?いつもより少しお高めなとこに来てどうしたんですか?」



場所は部署内のキャピキャピ組が「行きたあああ~い!」と言っていた、会社近くのオシャレな個室制レストラン。お値段も少々お高めで、部長とのデートのために服や化粧品を買い漁った私にはほんのちょっと敷居の高い場所だ。


「いいじゃん、奢るよ。」

「マジですか。」

「……急にメニューを取るな。」



あれ、体が勝手に。自分でも信じられないほど高速で手に取っていたメニューを渋々机の上に置いた。



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「失礼いたします。」


鳴海先輩がポンポン頼んでしまって、私が選んだのは飲み物だけ。そこはさすが徹底してるな。なるべく被害は最小限にということだろうか。



「乾杯する気分じゃないから、すぐ本題に入るわ。」

「……。」


グラスを差し出していた私を置き去りにして、鳴海先輩がビールを勢いよく飲んだ。



「ぷはー!」


どこに行っても鳴海先輩は鳴海先輩なようで、豪快な溜息が個室内に響いた。




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