拾い恋(もの)は、偶然か?




「らっしゃいませー!」


店内に、店員たちの元気な声がこだまする。

だからといって別に、どんな客が入ってきたのかなんていちいち気にするはずもない。


「先輩、いじけてみせてほんとはもっといいプリン狙ってるんじゃないですか?」


なんて、いいながら、ファジーネーブルを一口飲んだ。

先輩はというと、私の指摘ににんまりと笑う。

うわ、悪い顔。


「今度、有名なグランホテルのラウンジのプリン買わせるのよ。」


胸を張る先輩の得意げな表情に、思わず吹き出してしまった。


「先輩、しょうもないけど面白いです!」

「しょうもないは余計!」


普段はとても仕事ができて厳しい先輩も、こうして飲みに行けば楽しい人。お酒を飲んでいるせいで、なんだかふわふわする。でも気分はとてもいい。


「古蝶も人のこと言えないでしょ。ビール飲めないくせして。」

「うーん、お酒は好きなんですけどねぇ。」


最近そういう人って増えているというけど、私はビールが苦手だ。あからさまな苦味が不快だし、CMで見ているように後味スッキリなんてとんでもないと思ってる。


「それは何を飲んでるの?」

「え、ファジーネーブルですけど。」


さっき先輩がお代わりと一緒に頼んでくれたくせに、もう忘れてる?

先輩を見れば、私の後ろを口を開けて見ている。


何かが、おかしい。


さっき先輩の声、低かった、ような。


「可愛いもの飲んでるね、古蝶は。」




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