拾い恋(もの)は、偶然か?
とりあえず、笑顔、笑顔。一応部長の弟さんだし。
「なにが、言いたいんですか?」
なるべく声が固くならないよう、かつ可愛らしく言ったつもりの私。
「兄さんと付き合ってても、社長夫人にはなれないってことだよ。」
「はぁ?」
なのに次々と攻撃をしかけてくる衛。
「兄さん、これほんとに彼女?ずいぶんガラが悪いみたいだけど。」
「……。」
そのせいが大半で、もはや爆発寸前なんですけど。
頬が引くつく私を前に、衛は指差しで失笑する。なんだ、この失礼の塊のような男は。一緒の環境で育って、なんでこんなにも人に対する差があるのか。
部長を見れば、悲しげな目でこちらを見ている。なんとなく、この衛が言いたいことは分かっていた。
だけど私は…。
「部長。自分の口でちゃんと話してください。」
「……音。」
私は、部長から、聞きたい。
「ほら、彼女が聞きたいって。」
「ちょっと、衛は黙ってて。」
「は?」
ほんとに、さっきから衛がうるさい。手で制すと、目を見開いていた衛の端正な顔が、渋い表情へと変わる。