拾い恋(もの)は、偶然か?
「なんだよこいつ。マジでどんな育ちしてんの?」
「それはあんた。マジで黙ってて。」
「はー?」
衛が前のめりになって私を威嚇する。それならこっちも対抗してやるわよ。素早く立ち上がると、衛が怯んだ。机越しに顔を近づければ、これまた少し、あとじさる。意外と、小心者ね。
「初対面だ申し訳ありませんが、うるさいし邪魔です。黙ってな。」
「なっ!」
まだなにか言いたげな衛から、ツンと顔を反らして、隣で俯く部長の手を取った。
すると、部長の手が小さく震えているのに気付く。それだけ、私に知られたくなかったことなんだろう。
「翔吾さん、大丈夫ですか?」
部長は、私の呼び掛けには答えず、震えるもう一方の手で目を覆った。
「もしかして隠し通そうとしてた?前で失敗してるもんな。」
またいらないことを言う衛を睨み付ければ、衛は、肩をすくめて椅子に体を預ける。ほんとに、なんでこんなやつが部長の弟なわけ?イライラする。
でも…ふと思った。前、ということは。
「…松崎さん。」
思わず吐き出した名前は、最近お昼ご飯を一緒に食べる仲間になったあの人。あまりにもしつこいから、今度休日にランチも行く約束をした。