拾い恋(もの)は、偶然か?
考えてみれば松崎さんは……。
「なに?」
「……いいえ、別に。」
この衛野郎の、今カノではないか?そういえば部長の弟と付き合っていると言っていた。
うえ。こんなのと付き合ってるのか。部長からこいつ?ないわー。
「……なんか、すげームカつくこと考えてる気がするな。」
どうやら衛、そういう鼻が利くらしい。危ない危ない。
「俺は、子供が作れない体なんだ。」
「え?」
部長がポツリと吐いた言葉は、思いの他重く。
「世襲制のうちのグループでそれは致命的だ。だから俺は将来、社長にはなれない。」
悲し気な表情は、部長の抱えている問題の大きさを物語る。
「だから、音。」
言いかけて、部長は口を噤んでしまった。視線を移した先の衛は、ニヤニヤと私を見つめて笑っている。
うん、分かった。分かった、けど。
「ムカつくなぁ。」
「は?」
私が感じているのは、その一点だけだ。
目を丸くして固まる兄弟2人。こういう時の顔は似てなくもないと思う。
これが、金持ちの法則なんだろうか?自分を纏うスペックがないと、誰からも愛されないとでも言いたいのかな?