拾い恋(もの)は、偶然か?




「部長が社長になれないからって、私が部長と別れるとでも思ってるんですか?」




そりゃお金は大事。結局人は、お金がないと生きていけないのだから当たり前だ。私だってお金持ちを羨ましいとは思う。馬鹿みたいにお金があって、贅沢三昧したいとも思う。


できるなら、大きな家を買って、お手伝いさんに家事をしてもらって、優雅に犬や猫を抱いてくつろぎたい。仕事のようにエステに行って、社交界でオホオホ笑う。女ならそりゃそういう暮らしをしたいと思うだろう。



だけどさ、それって夢を見ているだけで、現実になるときっと、つまらなく色あせてしまうものなんだと思う。




「そういう、意味じゃなかったんだ。」

「そりゃそうでしょ。それに、こいつの子供は望めないんだ。付き合う意味がなくない?」



この兄弟は、天然ものでこうなのか、それとも世の中の会社経営をしている人たちの常識なのかは分からない、けど。



「私、いつ部長と結婚するって言いました?」

「え?」

「は?」



キョトン顔のこの兄弟を、今すぐぶん殴ってやりたい。


指先で机を高速で叩く私の指先を兄弟揃って見つめては、私の顔へと視線を移す。ほんとに、容姿の割に意外と残念な兄弟らしい。



「結婚したらそりゃ大きな問題ですよ。2人の間に子供を持つことができないというのは、あ、そう、で片づけられる問題じゃありません。」



私の言葉に、部長が俯いて、衛が勝ち誇ったような笑顔を見せる。




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