拾い恋(もの)は、偶然か?



「音、仲良かったよな?そこのところどうなの?」

「さぁ、なにも聞いてませんね。」


今のところないと言っていたのは言わないであげた方がいいと瞬時に判断した。なんかかわいそうだし。こんなに自信満々なのに。ぷ。


私をちんちくりん呼ばわりした罰だ。せいぜい不思議がってろ。


「それはあり得ないだろ。席も隣だし、よく飲みに行ってるだろ?聞かせろよ。それで戦術が大きく変わってくる!」

「え、鳴海君って音の隣なのか?」

「え?」


松田部長の戦術どうこうより、翔吾さんの衝撃発言の方がおおいに気になる。さすがに松田部長もそうなのか、目を見開いて翔吾さんを凝視していた。


「お前、知らないのか?他部署の俺でも分かるのに?」

「基本音しか見てないからなー。そういえば隣の机に誰かいるなとはボヤッとは思ってたが。男じゃないなら誰でもいいだろ?」

「うわ、引く。」


申し訳ないけど、私も松田部長に同感です。まさか翔吾さんの視野がそんなに狭いなんて。


「さすがに部下の席順くらいは分かってないとダメじゃないですか?」

「まぁ基本なにかあればメールか部屋に来てくれるから。あまり気になったことはないな。」


考えてみればあの大きな経理部を一つにまとめている部長様なわけで、それならそうか?と思わず納得してしまいそうだ。




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