拾い恋(もの)は、偶然か?



「……お前は、大丈夫そうだな。」

「まぁ。」


翔吾さん以外を見ろと言われても、あの人以上に魅力的な人はいない。衛もきっと、松崎さんが好きになったくらいだからいいところもあるんだろうけど、私には無理だった。


衛がああいうやつだから、じゃない。私は結局、翔吾さん以外を見ようと思っていない。


「つか始めて見たぞ、あんな翔吾。」

「どんな翔吾ですか?」


松崎さんも言っていたけど、"あの"翔吾さんは、どうやら珍しいらしく。


「デレデレしやがって。あり得ねえ。」


あの珍しくもないデレデレ翔吾さんを見て、彼をよく知る人が驚いていることが多い。


「誰でも好きな人の前ではそうじゃないですか?松田部長だって。」

「あ?」


この間カフェで、あんなに甘い笑顔を振りまいていたくせに。別に私にそう笑いかけろとは言ってない。でも松田部長が鳴海先輩に好意を持っていることが分かるくらいには、私見解ではデレデレしていたように見えた。


「この間の土曜日カフェで見たんですよね。嬉しそうに鳴海先輩の手を握ってましたよね。」

「……見てたのか、お前。」


眉間に皺を寄せた松田部長。怖くてやや引いた。


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