拾い恋(もの)は、偶然か?
悩みといえば相変わらずネット通販で失敗する翔吾さんのおちゃめくらい。そんな平和すぎる日々を過ごしていた私にこの日、最大級の試練が訪れた。
鳴海先輩たちと居酒屋で別れ、まっすぐに帰宅。帰宅といっても自分の家じゃなく、もはや自宅と化している翔吾さんの家だ。
ちゃっかり合鍵も貰っている私はいつもの通りオートロックを解除して翔吾さんの部屋へ。誰もいない部屋に「ただいま。」と言い、喉の渇きを感じて勝手に冷蔵庫からビールを出した。
プシュッと小気味いい音が聞こえ、そのせいでさらに喉が渇く。一口飲めばほどよい苦味が喉の奥を刺激した。さっき飲んだのに、また飲んでいる自分をアホだと感じながらも、のどが渇いていたんだから、なんて理由をつけて罪悪感はなかったことにする。
だって仕事をしている彼氏を残して飲んだくれた後、追いかけ一杯をその彼氏の家でしてるなんて。どれだけお酒がすきなんだ、私。
「うまー。」
疲れた体に染み渡るビールを感じながら座り心地のいいソファーに身を投げ出す。
しばらくビールを飲みつつ誰もいない部屋を見渡してボーッと過ごした。この家ももう見慣れるほど私、ここにいるんだな。ビールの苦味を感じながらニヤニヤしてしまう。
鼻から息を吸い込めば、翔吾さんがいつも付けている柑橘系の香水の匂いが。男臭さが皆無なのはなぜだろうとどうでもいいことを考える。
「早く帰って来ないかな。」
まだ翔吾さん用の夕食の用意もしてないくせに呟いた結果。
「ただいまー。」
バチが当たったらしい。