拾い恋(もの)は、偶然か?
「今日って、顔見せというか、会うのはご両親と私たちくらいですよね?最悪衛とか。」
「ふ、最悪って。」
小さく頷いてみせる翔吾さんだけど、私の予想では、いや、ほぼ間違いなく。
「もう、1名いそうですけど。」
「え?」
その車の主とこの間町でばったり会ってお茶したから分かるんだけど。さすがにナンバーまでは覚えてはいないけど、乗ったから分かってしまったり。
車を見つめ、眉間に皺を寄せる翔吾さんを見て思わず苦笑いが零れた。
「いますよ多分。翔吾さんの婚約者が、もう1人。」
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翔吾さんの実家は、思った通りの豪邸だった。通されたのは会議でもできそうな広いリビング。そこにやってきた時にはすでにその先客は優雅に紅茶を飲んでいた。
「お待たせ。この紅茶いい香りなのよ。私のお気に入りなの。」
「あ、すみません、わざわざ。」
立って頭を下げた私に翔吾さんそっくりの笑顔を返すのは、翔吾さんのお母さん。
「ふふ。礼儀正しいお嬢さんね。さすが翔吾が選んだ方だわ。」
「いえ、そんな。」
どうやらこの人だけこの場の雰囲気を読めていないのか、無視してるのか。明らかに不機嫌ですと顔に書いてあるお父さんと不敵な笑みを浮かべる彼女を気にもせずに、ソファーに腰を下ろした。