拾い恋(もの)は、偶然か?
社長の言葉は、翔吾さんだけじゃなく明日香さんまでもを傷つけた。
衛のためなら翔吾さんも明日香さんも不幸になっても構わない?そんなことあってはならないこと。
だけど、衛を支えるためなら、たとえ愛し合っていないとしても、翔吾さんと明日香さんは結婚すべきだと社長は言っている。
それなら、翔吾さんの人生は?明日香さんの人生は?そして、2人がいずれ出会うかもしれない、愛する人の人生は、どうなるんだろう?
2人はたとえ好きな人ができたとしても、相手を愛人という立場で縛るしかない。それが衛のためであり、会社のため。
そんなの、ばかげている。
「音?」
立ち上がった私が目で問いかける相手は、明日香さん。
小さく頷いた彼女は、相変わらずの美しい笑顔で私をまっすぐに見つめ返してくる。最近できた、不思議な友人。この人のためにも私は、社長に負けるわけにはいかないと思う。
「翔吾さん。」
「ん?」
振り返れば、翔吾さんが私を見つめている。
完璧で、情けなくて、寂しい、人。
「私と、結婚してください。」
止まらない涙はそのまま、震える声を振り絞った。