拾い恋(もの)は、偶然か?
こんな、掠れ声のいびつな逆プロポーズ。それも反対するご両親の前で。本物の婚約者もいるし、酷ければこれで翔吾さんは家を捨てるも同然になるかもしれない。
それなのに、翔吾さんは。
「喜んで。一緒に生きて行こう、音。」
まったくためらわずに、私にキスをした。
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「なんかさー、ついに別れたらしいよ、あいつ。」
「ああ、古蝶さん?やっぱねー。釣り合わないと思ったー。」
「本物の婚約者がいて、この間呼び出されたんだって!」
「うわっ、女の闘いってやつ?直接とかエグイ!」
「それ、ちょっと違うんですけど。」
「はぁ?」
女子社員の噂話は、会社のありとあらゆる場所で聞ける。さすがにデスクでは話すことはしないけど、給湯室とか、トイレとか、ロッカールームとか、ある程度個室に近ければそこは、女のお口の解禁場所だ。
そういう場面に遭遇することもしばしば。そのたびにスルーしてきた私だけど。
「こ、ちょう、さん?」
「お、お疲れ様ですー。」
気まずそうにしているこの知らない人たちの軽口だけは、なぜか見逃せないと思った。だって、翔吾さんと私が別れたなんて、なんてことを言うのか。
「明日香さんは呼び出ししそうな悪女顔ですけどね、ああ見えて中身はものすごく乙女な人なんです!」
「え?」
「なに?」