拾い恋(もの)は、偶然か?




こういうのも気分転換になるな、なんて。そんなこと考えてる時点で私は馬鹿なのかもしれない。


部長との仲は順調。お互いの休みが合えばデートに行くし、帰りの時間が合えば車で送ってもらえる。



プラトニックだけど、プラトニックだけど!キスをしてくれるし。


抱きしめて貰えれば私は、有頂天だ。


「はぁ。」


なのに、何が物足りない?そんなの贅沢すぎるんじゃないの?そう言う自分がいるのを感じつつ、私の中で募っていく、不満。


私と部長の関係はまだ、スタートしたばかりなのに。私だけが走りにくくてかなわない、そんな感じ。



これは贅沢なのか、それとも、私か部長に問題があるのか。とにかくなんだろ、モヤモヤするこの気持ちは……。



「あ。」

「え?」



気のせいじゃ、ないはず。


今まさに、駅ビルのカフェからホットコーヒー片手に出てきたその人は、もう片方の手で車のカギを持っている。


車出勤のくせに、わざわざ駐車してまで買いに来たんだろうか?それもこの暑いのに、ホットコーヒーを?


「音。」

「っっ、」


部長の柔らかい笑顔は、朝から心臓に悪い。


「待ってくださいよ部長!」

「え?」


そして、店内から部長を追いかけて出てきたその人の存在もまた、心臓に悪かった。




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