拾い恋(もの)は、偶然か?
「だからさぁ、言ったわけよ。それは私のプリンですよって。」
「はぁ。」
ビールが大好きな鳴海先輩は、実はプリンも好き、なんて可愛いところもある。
今日はというと、冷蔵庫の中に入れていた鳴海プリンを、彼氏が家に来た時に食べてしまったというなんともしょうもなさすぎる愚痴を吐き出すためにここに来たらしい。
「どう思う?」
勝手に彼氏にプリンを食べられた場合、私ならどうする?と聞いているんだろうか?
「別に、いい、」
「それじゃダメなんだって!」
「……。」
明らかに答えを予想されていたらしい。食い気味どころか食ってるレベルで言葉を遮られてしまった。
その辺の安居酒屋で、会社の先輩の愚痴を聞きながら安酒を飲む。こういう幸せを多分、あの人の隣では味わえないんだろうな。
司馬部長の不敵な笑みを思い出した。いつものへたくそな笑顔も、あの、最高の甘い笑顔だって。
真剣な表情も、少し疲れている顔も、あまり会うことができないあの人を見ているだけでよかった。
どうせ、つり合いはしない。私とあの人は、この居酒屋と高級なフレンチレストランくらいの差があるのだから。
所詮、生きている場所が違う。