私の本音は、あなたの為に。
次の日。


私は、何となく憂鬱な気分で学校へ向かった。


同じクラスの花恋にどういう目で見られるか、怖かった。


案の定、クラスの中には花恋の姿があって。



「あっ、おはよう、優、希……?」


花恋はその長い艶やかな髪を揺らし、そして固まる。


「髪の毛、切ったの……?」


花恋は、一言一言を噛み締めるように呟く。


そして。


「何で、何で?私と約束したんじゃなかったの!?」


大声で喚いた。


騒がしかったクラスが一瞬にして静まり、そしてまたゆっくりと騒がしくなっていく。


そんな中、私には何の音も聞こえていなかった。


こうなる事は、昨日髪の毛を切った時点から分かっていた。


分かりうる、事だったのに。


最初に約束した時にはママにも言い、ママは笑って納得してくれたのに。


今のママは、昔のママではない。


“優希”のママではなく、“勇也”のママ。


「ごめんね、花恋。これには、訳があって……」


私の必死の言い訳にも、花恋は耳を貸そうとしなかった。


「私と約束したのに、優希は破った…。優希、嘘つきなんだね」


明らかに怒っている花恋の心もとない言葉は、ぽっかりと穴の空いた私の心にまたもや大きな穴を開ける。
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