私の本音は、あなたの為に。
言い返せた驚きと、言い返している喜びで私の心の中は歓喜に満ち溢れている。
けれど、もちろん私は一切そんな感情を顔には出さない。
「でもよ、お前の髪型男っぽいし、男…」
「黙れよ!」
私は、思わず声を荒らげる。
(あっ、どうしよう!“勇也”になっちゃった!)
さっきの歓喜の感情とは裏腹に、今度は私の心の中は焦りの感情で埋め尽くされ始めた。
必死になって隠してきたというのに。
けれど、言い始めたら止まらないのが私の癖であり、兄の癖。
「男っぽい髪型の、何が悪いんだよ!」
自分でも信じ難い程“勇也”になりきっている私。
今では男子達も先程の勢力を失い、魂が抜けたかのように私の顔を穴の開く程見つめている。
「俺だって…私だって、本当はこんな髪型、嫌なのに…」
家の中で“勇也”として過ごしていると、色々な面で“勇也”になりきってしまう。
1人称である“私”も、つい最近に兄が言っていた“俺”に変えたばかり。
ついつい、癖が出てしまった。
先程よりも少し声のトーンを落とした私は、自虐的に呟く。
その声を聞き逃さなかったのか、花恋が驚いた様に顔を上げた。
「…これから、俺のお兄ちゃんの事を侮辱するなよ」
まるで、自分が喧嘩をしている最中の兄の様で。
けれど、もちろん私は一切そんな感情を顔には出さない。
「でもよ、お前の髪型男っぽいし、男…」
「黙れよ!」
私は、思わず声を荒らげる。
(あっ、どうしよう!“勇也”になっちゃった!)
さっきの歓喜の感情とは裏腹に、今度は私の心の中は焦りの感情で埋め尽くされ始めた。
必死になって隠してきたというのに。
けれど、言い始めたら止まらないのが私の癖であり、兄の癖。
「男っぽい髪型の、何が悪いんだよ!」
自分でも信じ難い程“勇也”になりきっている私。
今では男子達も先程の勢力を失い、魂が抜けたかのように私の顔を穴の開く程見つめている。
「俺だって…私だって、本当はこんな髪型、嫌なのに…」
家の中で“勇也”として過ごしていると、色々な面で“勇也”になりきってしまう。
1人称である“私”も、つい最近に兄が言っていた“俺”に変えたばかり。
ついつい、癖が出てしまった。
先程よりも少し声のトーンを落とした私は、自虐的に呟く。
その声を聞き逃さなかったのか、花恋が驚いた様に顔を上げた。
「…これから、俺のお兄ちゃんの事を侮辱するなよ」
まるで、自分が喧嘩をしている最中の兄の様で。