遅すぎた初恋
「星羅ちゃんって本当偉いわあ。
さてと。息子よ。用が済んだらさっさとマンションに帰ってね。さもないと溜まりに溜まったお見合い写真で攻撃するわよ。
本当に次から次へと煩いのが、私の所に持って来るんだから、本人に直接言えって言うの!
ああ腹がたつ、そうだ、今度からうちの馬鹿息子はアッチの方がてんで駄目で娘さんのご期待に添えかねますってふれ回ろうかしら…。」

と名案!とポンっと手を叩いて一人ごちに呟きながら去って行った。「おい!母親!それだけはやめろ!息子の株を落とすな!」とまた心で宣って、後ろ姿を睨んだ。

「お義兄さんって、反応しないんですか?お仕事お忙しいですものね。仕方ないですよね。
でも一度はお医者さんに行かれた方がいいと思いますよ。諦めないでくださいね。
それに役立たずだと私も困りますし。」

とまた星羅がやって来て、心配顔で私を見て来るから、彼女の両のこめかみに拳を当てて「そんな訳ないだろ!」っとグリグリとやってやる。
彼女は「痛いい。暴力反対!暴力反対!心配してるだけなのにい。だったら早く誰かと結婚して跡継ぎつくってくださいよぉ」と涙目になりながら訴えてくる。
うるさい! 他の女とは断じて結婚せんわ!この野郎!と気がすむまでグリグリやってやった。

「もう言いません。」と反省したようなので、パッと離して、髪をぐしゃぐしゃっとして「ちょっとカメラを持って散歩に行こう。」と誘った。

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