遅すぎた初恋
お前が一番仕事の邪魔をしているんじゃないか?誰であろうとも…ね。
もし私がした事がばれたら、母は迷いなく使い物にならないようにして日本海溝に沈めるだろうなと考えて身震いする。

まずいな、本当に日を増すごとに星羅は美しくなり過ぎている。どうしたものか?
ああまた悶々として来た。仕事が終わらん。

それから週が変わり、恒例のクリスマスパーティーの日がやって来た。
ほぼほぼ徹夜で泣きながら仕事を終え、なんとかパーティーには間に合った。
邸に着いた早々、「あら来たの?」と母に言われたので、「来て悪いか?」と反発すると「ほんと、どこで心を入れ替えたのかしら、良い子になっちゃて、面白くないわ。じゃあ、お見合いも進めて良いかしら。」と宣うので「無理」と宣言した。
私の太々しい態度にメデューサの様な目つきを見せたが、諦めたのか「まあいいわ、用心棒よろしくね。」と言って、広間に入っていった。

用心棒ねえ、と思いながら広間に入って行くと、私の姿を見つけた星羅が、キラキラと目を輝かせてこっちに走って来ようとする。
それを来るなよと手で制して、私から彼女の元へ向かった。
確かに用心棒だなと思いながら彼女を取り巻く男共を掻き分けて彼女に歩み寄った。
私の顔を見た男共は、サッと蜘蛛の子を蹴散らす様に去っていった。
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